2007.12.22 Saturday
明治時代の商館跡など 『山下居留地遺跡』の発掘現場を視察しました
中区山下町の「居留地遺跡」発掘調査は、同地の再開発事業に伴い、今年9月から今月末までの期限付き調査として実施されているものです。山下公園や大さん橋に近く、開港150周年の目玉事業として整備予定の、開港の原点『象の鼻ふ頭』も至近の位置にあります。「山下居留地」は、幕末の開港以降多くの外国商館・邸宅が立ち並び、諸外国との貿易拠点になった場所。現在調査している範囲は、開港期に48、54、55番地だったところで、それぞれイギリス系の貿易商社・モリソン商会、ドイツ系総合商社・イリス商会、イギリス系商社・コッキング商会が存在していたことが、資料などでわかっています。現在も敷地の一部には、「神奈川県指定重要文化財 旧横浜居留地48番館」があり、モリソン商会の建物の一部が保存されています。このことから、県教育委員会の生涯学習文化財課が強く埋蔵文化財調査を求めた結果、発掘に至ったもの。かながわ考古学財団が調査を担当しています。 私は、県教委・教育政策担当の三角部長や文化財課の御堂島主幹らに案内され、現地視察と丁寧な説明を聴くことができました。これまでに、ジェラール瓦、タイルや陶磁器、ガラス杯など外国人の生活が伺える遺物がたくさん発掘されたほか、石積みの地下室、レンガ積みの貯水槽、井戸、便槽、かつての道路路盤や側溝等も姿を現しています。私が驚かされたのは、さほど深くない地層から古墳時代の土器破片等も見つかっていること。また関東大震災後に瓦礫を敷き詰めた地層もあり、幕末からその時期まで、何回も建造物が建替えらるなど街づくりの様子も伺える点。今回の発掘調査は近世・近代の横浜の姿はもとより、古墳時代からこの地に「人の生活」があったことを確認した、極めて意義の深い調査だつたことが解ります。 文明開化の地・横浜の、そして日本の近代化の原点ともいえる場所から出現した遺跡は、「奇跡」ともいえるものでしょう。遺物は大切に保管・調査され、来年にも「調査報告書」が発行されると伺っていますが、関係者の努力と見識を以って、遺構の一部でも保存・鑑賞が出来るような方策を取ってほしいと願っています。 文化庁の基準では、近世以降の遺跡は原則として埋蔵文化財調査の対象外。その評価も定まっていません。そうした中で、大きな成果に導いた今回の県教委の仕事は、高く評価されるべきです。今後、旧居留地等の開発行為には、こうした調査を義務付ける動きも考えられます。市が新たな整備を進めようとしている「象の鼻地区」一帯も、運上所など開港期の遺跡が予想される場所。後世に非難されることのない調査・施策を講じていかなければなりません。 写真はモリソン商会の跡地の発掘調査。地下室や井戸などが確認できる。 |

中区山下町の「居留地遺跡」発掘調査は、同地の再開発事業に伴い、今年9月から今月末までの期限付き調査として実施されているものです。山下公園や大さん橋に近く、開港150周年の目玉事業として整備予定の、開港の原点『象の鼻ふ頭』も至近の位置にあります。
写真はモリソン商会の跡地の発掘調査。地下室や井戸などが確認できる。